上手な演奏に聞こえるためには、音量が安定している事、それにはブレスが安定している事が必須です。ブレスの安定はその他にも、演奏上好ましい結果へと結びつきます。それは、音楽の演奏上大変重要な要素である「リズムの安定」につながるのです。
「リズムの安定」とは?
実際リズムの安定感の度合いは、奏者の演奏レベルの高低として聴衆にもろに伝わってしまいます。もちろん聴衆が具体的にそれを聞き分けることは少ないと思いますが、漠然とした印象としてハッキリ伝わります。漠然とは言っても、実際には聴衆にとってこの「漠然とした印象」は、演奏の善し悪しを判断する上でとても大切な要素なのです。
「リズムの安定」と言うと、一般的にはメトロノームのように均等に正確に音が並ぶことをイメージしがちですが、本当の「リズムの安定」とはそういう意味ではありません。もちろん、トレーニングとして均等に音を並べる練習は大切ですが、実際の演奏では必ずしも全ての音を均等な長さにする訳ではありません。メロディーを自然に聞かせるよう表現していくと、大なり小なりリズムの揺らぎが伴う事になります。そういった揺らぎも含めて、「リズムの安定」が感じられるか?という事なのです。
「ブレスの安定」が大切!
きちんと奏者のイメージどおりに演奏のコントロールがされている状態であれば、リズムの揺らぎには必然性が感じられます。たとえメトロノームで測ってみると不均等な長さの音になっていても、聴衆にとってはメロディー全体としてはプロポーションが整って聞こえますので、リズム自体は安定している印象になります。しかし、奏者の頭の中にそのようなメロディーのイメージがあっても、楽器の操作技術に問題があると、聴衆にはただフラフラとした不安定なリズムになって聞こえてしまいます。
実はここで重要になるのが「ブレスの安定」です。少なくともサックス(サクソフォン)、フルート、クラリネットはじめ管楽器の場合は、ブレスが安定する事が大前提となります。演奏中、いつでもブレスが安定してくるようになれば、この音をもっと強調したいとか、今のフレージングはゆったりと聞かせたい等、徐々に思いきった表現が出来るようになります。しかも、その結果としてリズムに揺らぎが生じても、リズムが安定してメロディーのバランスは崩れません。こうなってくると、まるで鼻歌のように自由に歌っているかのような演奏が可能になるので、演奏者は本当に心から演奏を楽しむ事ができるようになります。もちろん、聴衆の立場からもその楽しさは共感できるものになる事でしょう。
自由な演奏を目指して!
皆さんが楽器の初心者だった時、きっと「色々なきれいなメロディーを自分の楽器の音で表現したい」 といったような事が目標だったのではないでしょうか? 若しくは現在、鈴木サキソフォンスクールのサックス入門コースへのご入会を検討中の皆様も 同様の目標をお持ちの事と御察しいたします。
「メロディーを自分の音で、自分なりに表現したい」
その為に大切な事は、様々な点から楽器を安定してコントロールできる技術を身につけることです。まずは「ブレスの安定」、その結果得られる「リズムの安定」を身に付けることが大変重要です。これを習得するには日々の練習の中で若干のご苦労があるかもしれませんが、マスターできたら本当に心から楽器の演奏を楽しむ事ができるようになることは間違いありません。私、鈴木学のレッスンを受講中の皆さん、楽しみにしていてください!