面白い音源を発見しました。マイルスバンド加入前の、ジャズ・テナーサックスの巨人、 ジョン・コルトレーンの演奏が聞けます!そして、聞いてみて、心の底から驚きました。後のトレーンとは全くの別人です!!
トレーンのブローテナー
下段に紹介した音源中、2曲目のCastle Rockを聞くと、トレーンのテナーがフューチャーされているのですが、もう古臭い(失礼!)ブローイングテナーそのもの、ハッキリ言って「平凡」な演奏です。
7曲目のスローナンバーでもフューチャーされていますが、当時流行していた、ビバップ風レスター・ヤング的な演奏で、これも「ありきたり」としか言いようがありません。
他のトラックを聞いても、チャーリー・パーカーのフレーズを研究している形跡はハッキリと伺えるのですが、後にマイルスバンド、コルトレーン・カルテットで次代の最先端を突き進んだプレイとは全くの別物です。
トレーンの心情をおもんばかる
ここで、トレーンの当時の立場を察しながら考えてみましょう。 当時、このような演奏スタイルのテナーは、大勢いたはずです。そんな中、トレーンは自分がミュージシャンとして生活していくに当たって、どのように考えたのでしょうか?(当然の事ながら、まずは、売れっ子にならなければ、飯が食えません。)
「このまま、他と同じようなスタイルで演奏していても、いつまでも仕事は増えない。何とか、自分ならではのスタイルを見つけ出して、他とは違う個性を発揮しないと、いつまでも貧乏なままだ・・」
このように考えた事は容易に想像がつきます。私、鈴木学は個人的に、このような危機感が、後に次々と革新的な演奏に挑んでいく原動力になったのだと考えています。
人間、コルトレーン
トレーンは、ジャズ評論家によって『神』のように祭り上げられてしまいました。神として、ストイックな精神で新たな音楽造りに挑み続けた、といった類の評伝が多いですよね?
しかし、ジャズメンの本質は演奏してギャラを稼ぐ事、メシを食っていくことです。だから、上記のように考えたほうが自然だと思うのです。そして、今回の音源を聞いて、私は「人間、コルトレーン」を感じて、深く親しみを感じました。
上記音源は、あらためて『ジャズ=人間』だということを再認識できる音源です。皆さんも、是非、お聴き下さい!