私、鈴木学は、ジャズサックス(サクソフォン)フルート、クラリネット演奏家として、20年以上活動を続けてきました。その間、様々に悩み、苦しみ、喜び、試行錯誤を続けてきました。そんな中、演奏家として最も多くの発見があるのは、やはりステージ上です。最近もステージで演奏中に重要なポイントに気付きました。それは『演奏を楽しむ』という事の、真の意味についてです。
自分の音、音楽が好き?
もちろん、レッスンの際には、何度も繰り返し、生徒さんにこの言葉をお伝えしていますし、実際、私自身、演奏すること、特にバンドで演奏する事は大好きです。しかし最近、「自分は本当に演奏を楽しんでいるのか?」という疑問を感じ、色々と自己分析してみました。
まず、自分自身の「好き」という気持ちから分析すると、「音楽が好き」「楽器がすき」なのは間違いありませんが、これではザックリし過ぎているので、更に深めていきます。
- 「楽器を触っているのが好き」「楽器自体の音色が好き」、しかし「自分の音色は・・?」
- 「音楽を聞くのは好き」「音楽自体は好き」、しかし「自分が作り出している音楽は・・?」
実際の所、いざ合奏に臨む際には、自分の音、音楽を受け入れるしかないのだと、理性的には理解していましたが、心の底では、今まで、自分の音色、作り出す音楽を好きだとは思えていなかったようなのです!これはいけません!!演奏を楽しめるわけがない!
自分の音を受け入れる
そこで、大きな発想の転換をしました。
「自分の音、音楽が好きだと思えなくても良いじゃないか!まあ、こんなもんだと、受け入れてしまおう!」
こう考えるにはもう一つのハードルがあります。他人との比較を一切止めなければなりません。比較してしまうと、確実に自分を卑下する事になるからです。しかし、コレがなかなか難しい!この「他人」には、過去の偉大なジャズメンも、含める必要があるからです。
まあ、それでも、「自分はもう25年以上もサックスを吹いてきたのだから、人と比べるのは、もういいかな?」と開き直ってみる事にしました。 実際、私自身、自分の音色、プレイをレスター・ヤングと比較した上で、劣っているから自分の音色、プレイは嫌いだ、という思考に陥っていました。ジャズ史上最高のテナーサックス奏者と比較するなんて、我ながら無謀な事をしていたものです・・(汗)
自分の演奏を楽しむ!
このように考えてステージに臨んだ所、もう演奏が楽しくてしかたありません!!アドリブ中も自然と次々にアイデアが浮かんできます。と言うよりも、ほぼ無意識状態で演奏している中、気がついたら、今までに自分自身が演奏したことも、聞いた事が無いようなソロラインを自然に生み出していました。 こんなことだったら、もっと以前から開き直って楽しんでいればよかったと、心の底から思います。
まあ、私の場合は、「プロなのだから」という意識に縛られすぎていたのが大きかったと思います。求道者のようでなければならないと、決め付けていたのですね。 アマチュア(愛好家)の皆さんならば、何の躊躇も無く、演奏を楽しんでしまえば良いです!結果的にその方が確実に上達します。是非、上記のような分析をご参考に、演奏を大いに楽しんでくださいね!