今回のブログは、前回のブログ「ジャズアンサンブルを整える方法(フレージング編①)」の後編となりますので、前回のブログをご覧いただいている前提でお話を進めさせていただきます。】
メンバー間でお互いのブレスを感じる
皆さんがジャズアンサンブルをする時に気になるのは、各フレージングの出だしが揃わない、という事ではないでしょうか?しかしだからといって、リズムセクションを聞いて何拍目にあわせよう、とやってしまうと、むしろズレが目立つようになってしまったりするのも良くある事です。
この場合、出だしの音自体を揃えようとするよりも、その前のブレス、息の取り方を揃えるのが得策です。普段から特に長い休符の後、フレージングの直前にではなく、2,3拍前にはブレスを取るように習慣づけます。そしてそのブレスが、急いだ感じの激しいブレスが良いのか、ゆったりとした深いブレスが良いのか、常に意識するようにします。
メンバー各自にそういった意識がある状態で、リードパートの奏者のブレスのムードを常に感じ取り、それと自分のブレスを馴染ませるようにして下さい。そして各奏者のブレスが揃ってきた後は、各自ここで発音するのが一番格好良いと感じるタイミングを狙って発音します。このようにしていただければ、ほとんどの場合フレージングの出だしは揃ってきます。
どこで、どのようなブレスをとるのか?コレをある程度統一するだけで、少なくとも聞き手にとって違和感が感じられるような出だしのミスは無くなります。むしろ、ただ正確さを狙った出だしよりも、パワー、エネルギー感のある格好いい発音になるのです。
(このやり方では、厳密には正確に揃った出だしにはならないかもしれません。しかし、ジャズのアンサンブルの場合、これ以上正確に揃った出だしを意図的に作ると、むしろ不自然に聞こえます。作為的な感じが聞き手に伝わってしまうということです。)
フレージングの終わりを感じる
もう一つ皆さんが気になるのは、フレージングの終わりが揃わない、という問題でしょう。一般的にこれについては、何拍目の初め、終わりに、というようにフレージングの切り際の位置あらかじめ決めておく、という対策を採っている例が多いように察しますが、意外とこの方法ではうまくいきません。
まず初めに、各奏者が音の終わりを舌で止める習慣を持っているか?ということが問題になります。音の終わりを息だけで止めている方が多いようですが、この方法だと終わりがぼやけてしまいます。音の終わりは舌で、もしくは息と舌の両方を使うというようにすると、切り際が明確になります。
次に指摘したいのは、デクレッシェンドの誤解についてです。ジャズのアンサンブルでは消え入るようなデクレッシェンドは用いません。かなりのところまで、音量まで下げていく場合でも、終わり際は「~~ッ」というような感じでハッキリと切るのがジャズのデクレッシェンドです。
各自が音の終わりを明確に示せるようになれば、後は実際のアンサンブルです。まず、各奏者が自分の音に集中して、今伸ばしている音を、自分自身が一番格好いいと感じる所まで吹ききってください。その位置については、毎回異なってしまってもかまいません。少しでもテンポが変われば、本当に「美味しい」切り際の位置は微妙に変化してくるものです。ですから、各奏者が常に「美味しい」切り際を狙う習慣を持つこと、これがフレージングの切り際を揃えるための最大のコツとなります。
アンサンブルのメンバーの意識がこのように変われば、リードパートの切り際に、他の奏者が揃えるのは極めて容易な事となります。繰り返しになりますが、各メンバーが常に切り際に対する意識を持っていることが重要なのです。
【今回のまとめ】フレージングの出だし、切り際を揃えるには・・
- 出だしの音そのものより、直前のブレスをどこで、どのように取るのかを揃えましょう!
- 各々が常に「美味しい」切り際を狙う習慣を持ちましょう!