前回のブログ「最も厄介なもの『音程』①」で、サックス(サクソフォン)の音程を安定させる為には、とにかくハイピッチを目指す事が大切である事を、お伝えしました。今回は、この為に必要な音程のコントロール法について、更に具体的にお話を進めていきます。
音程を決めるのは『喉』
サックスの音程は、主に『息のスピード』、『喉』、『ヴォイシング(口の中の歌い方)』の3つのポイントで決まります。
- 『息のスピード』 →速めれば音程は上がり、遅くすれば音程は下がる。
- 『喉』 →軽く高い声を歌うようなイメージでサックスを吹くと音程は上がり、低い声で歌うようにすると音程は下がる。
- 『ヴォイシング』 →ウーというように口の中を軽くすぼめて吹くと音程は上がり、オーというように口の中を大きく拡げて拭くと音程は下がる。
音程のコントロールのポイントとして3点挙げましたが、この中で『息のスピード』については、テンポ感のコントロールに影響が強いので、あまり音程の為に変化させたくはありません。それから『ヴォイシング』についても、タンギングのことを考えると、あまり大きな変化は好ましくありません。そうなると残りの一つ、『喉』が音程のコントロールの為に重要なポイントだということになります。
上記の3点に加えて、アンブッシュアの締め具合も音程に関わりがあるのですが、私、鈴木学はこの締め具合で音程をコントロールするのはサックス奏法上好ましい事だとは考えていません。アンブッシュアに関しては、下唇の裏が痛くならない程度に軽く締めた状態をキープし、その状態からあまり変化させないように心がけてください
リキみは禁物!
『喉』はサックスの音程をコントロールする上で大変重要な役割を担います。更に言えば、音色に関しても、『喉の使い方』は決定的に重要な要素となります。
皆さんは、楽器の演奏について「歌うように演奏しなさい!」と、誰かからアドバイスを受けた事はありませんか?この言葉は主に演奏の内容についての助言として用いられるのですが(もちろん、それはそれで重要な事です)、ことサックスの演奏法に当てはめると、これほど的確なアドバイスはありません。『喉』で歌うように演奏するのは、サックス演奏の最大のコツです。
しかし、『喉』で歌うように演奏することが大切であると、頭では理解していても、なかなかそのようには演奏できません。全身、特に下腹部、肩、そして喉そのものに不必要なリキみがあると、『喉』は思ったように働いてくれません。喉そのものだけでなく、全身の筋肉のリキみは『喉』に大きな悪影響を与えます。
そもそも、サックス演奏時には、全身をリラックスさせることが重要なのですが、そうはいっても意図的に体をリラックスさせる事は容易ではありません。レッスン時にも、『リラックスしてね!』の一言で済ませることができたら、こんなに簡単な事はないのですが、その一言だけで脱力できるようになった人は、今までに只の一人もいないのです! 次回のブログでは、このリラックス、特に肩と下腹の脱力法のヒントを解説する予定です。このヒントだけで完全に脱力する事は難しいかもしれませんが、必ず、演奏上何らかの改善が見られるはずです。次回のブログをお楽しみに!
【今回のポイント】
- サックスの音程にとって『喉』の使い方が重要です!
- 『喉』を有効に使う為には、体がリラックスしていることが重要です!