ジャズアルトサックス(サクソフォン)の名プレーヤーたちのプロフィールを読んでいると、影響を受けたプレイヤーとして、十中八九チャーリー・パーカーの名前が上がります。たいていは自らそう公言しているのですが、それと知らなくても、ある程度ジャズを聴いたリスナーならば、各奏者のプレイの中にパーカーの痕跡を見出すのは容易でしょう。
パーカーを「お手本」として
例えば、つい近年この世を去った、名アルトサックス奏者、フィル・ウッズ氏は、典型的なチャーリー・パーカーのフォロワーと言われています。確かに、ご本人のインタビュー等の発言でも、それと口にしています。まずは、氏のプレイを聞いてみましょう。
ここで、ご本尊(?)パーカーのプレイも聞いてみましょう。
いかがでしょうか?確かに似ているといえば似ています。しかし、「そっくりか?}と聞かれたら、素直に頷けないですよね。
まずは「自己表現」!
ジャズの評論文等を読んでいると、「パーカーの影響下で・・」とか、「パーカーをお手本として・・」といった言葉付きで紹介される奏者が実に多いことにすぐ気づきます。
しかし、我々日本人はついついこの「影響」、「お手本」というのを、「モノマネ」していたと曲解してしまいます。実は恥ずかしながら、私自身、長年誤解していました。
確かに自らのプレイスタイルを確立するうえで、偉大な奏者のプレイスタイルをお手本にするのはアリです。音楽の一ジャンル、ジャズの表現様式を知り、マスターするには、それが最も有効な方法です。だからといって、そっくりに演奏できるようになることが目的になってはいけません。
先に紹介した、フィルの演奏を聞けば、誰でも納得するでしょう。彼は間違いなく自己表現をしています。そしてフィル・ウッズスタイルを確立しています。パーカーを深く敬愛し、影響を受け、お手本にした、だからこそ自己表現を貫いたのです。
お手本にすることとモノマネをすることは、全く異なる行為です。皆さん是非、自己表現を目指してください!自分なりの演奏を求めてください!それがジャズ・スピリッツなのです!