現状の演奏技術でプレイを!

昨日(2017/1/14)は大雪の降る中、名鉄岐阜駅近くのお店、Jazz GHOST Vまで、ボサノバ演奏のライブに出かけてきました。

 

あまりの悪天候だったため、お客様も少なかったのですが、かえって自分の演奏を詳細に観察しつつ演奏した中、あらためて演奏上重要なポイントを思い出したので、備忘録を兼ねて書き記したいと思います。

指が動かない!

実は、お正月明け初めてのライブで、しかも冬真っただ中の寒さ、プラス大雪・・。ここまでで十分、かなりの悪コンディションだったのですが、加えて、ライブ前に某所に著書「楽器演奏が楽しくなるココだけの話」のプロモートに赴いていました。

つまり、雪の中、本が20冊入ったカバンを背負い歩き回った後に、岐阜に向かったのです。そしてフルートを組み立て、演奏を始めたところ、久々に驚いてしまいました。「指が動かない」のです!!重い荷物と寒さのせいで、指が固まってしまっていたのですね。

もちろん、ライブ演奏中ですから、その状態でもなんとか演奏しなければならないわけで、しばらくの間、どうしたものか、プレイしながら考えました。

条件を受け入れる!

そうしているうちに、ふっと気づきました。よく考えたら「指が動かないならば、動かないなりにプレイすればよい」という当たり前のことを思い出したのです。これは実際に、教室の生徒さんに対しても、いつも助言している言葉なのですが、いざ自分のこととなると、すっかり失念していました。

 

指が動かないのに、普段通りにプレイしようとしたから困ってしまったわけで、動かない中でも、なんとか動く運指を中心にプレイを組み立てればよいのですね。特に、即興演奏アドリブ)、ジャズボサノバの演奏であれば、こう考えても、何ら問題は無いはずです!

このように考えを切り替えた後は、何ら問題なく、運指を気にすることも無く、演奏をすることができました。むしろ、発想を変えたことで、普段出てこないようなフレージングを生み出すことができ、自己評価では結果的に良い演奏ができたようにすら思えます。加えて技術的なゆとりをもって演奏することで、お客様にとっても、音楽の内容そのものに集中して聞いていただけるという、大きなメリットも生まれます。

もちろん、音楽を生み出すスピリット的には、ギリギリを狙って普段の自分を超える、今までの自分が未体験の音楽を生み出そうという執念を失ってはいけません。しかしそれは技術的な無理をするのとは違います。そもそも、楽器の演奏は瞬間芸術ですから、音楽を生み出す際は、自らのコンディションも条件の一つとして受け入れた方が、新鮮な音楽を生み出すことが可能となるのです!

生徒さんの演奏を聞けば、すぐに気づくポイントでも、自分の演奏に対しては意外に気づけない、つまり人間、他人のことよりも、自分のことの方が分からないものだと、改めて思い知りました。皆さん、是非参考にしてくださいね!