Youtubeで様々に検索している際に、面白い映像を発見しました。ジャズテナーサックス(サクソフォン)の偉人の一人、ジョージ・コールマンがたった一人でアカペラ演奏を披露しています。その音質が実にクリアかつ、たいへんに生々しい状態で録音されているので、まるで目の前で音を聞いているような臨場感があります。これは珍しい映像です!
テクニックが聞き取れる!
通常、録音物がこれほど生々しい状態で残されることはまずありません。ディレイ、エコーをかけたり、音量を均質に整えたり、一般の音響環境で聴きやすいように、様々に加工されるのが通常です。
まるで、マイクで収音した音をそのままかのような生々しい音質なのが、かえってジョージ・コールマンのテクニックの確かさを裏付けています。ブルース的な表現を自在に盛り込みつつ、音楽の流れが実にスムーズです。これがレスター・ヤング以来のジャズテナーの伝統なのですが、ジョージが、それを見事に体現しているのがハッキリと聞き取れます。
タンギングを参考に!
様々に奏法、テクニックが聞き取れる中でも、是非大いに意識して聴いていただきたいのがタンギングです。全体的にタンギングのタッチがソフト、つまり発音の瞬間の音が柔らかいのです。その上、発音の名色が多彩、つまりタンギングテクニックが多彩であることを示しています。
最近いくつかのバンドを指導していて気づいたのですが、日本のジャズ管楽器奏者は、タンギングが強すぎます。「タンギング=アクセント」になってしまっています。おそらく「ジャズっぽさ」を求めた結果、アタックが強くなっているのではと察しますが、残念ながら、音がつぶれてしまって、演奏の聞き映えが非常に悪くなっている人が大半のように思えます。
そのような人に、是非、ジョージ・コールマンのタンギングを参考にしていただきたいのです。上記の映像から聞けば、間違っても「タンギング=アクセント」にはなっていないことが聞き取れると思います。皆さん、是非ソフトなタンギングをマスターしてください!演奏のレベルがワンランク上がりますよ!