先日、名古屋のジャズライブハウスの老舗 jazz inn LOVELYに出演した際の模様を録画編集して、Youtubeにアップしました。今回のブログではそれをご紹介しつつ、この演奏の際にどのようなことを考えていたか等、裏話を披露しようと考えています。
テナーサックスのためのオリジナルチューン
まずは私、鈴木学自ら作曲した楽曲の演奏をご紹介します。この20年の間に、ジャズ世界ですっかり定着した、ファンクビートの楽曲を何か作ってみようと考えて作曲しました。
私は、サックス(サクソフォン)に関しては、ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスの4種類を演奏しますが、ジャズアドリブで主に用いるのはテナー、次にソプラノとなります。
ですから、自ら作曲する場合も、テナーサックス、もしくはソプラノサックスで演奏することを想定した楽曲になることが多いです(時にはフルート用にも作曲しますが・・)。この楽曲Canal Funkも、テナーサックスでの演奏を念頭に作曲しました。
実は私にとって、作曲という行為は、最高レベルの音楽的トレーニングとなっています。自分のテナーサックスの音色のイメージ、それを共に演奏するバンドサウンドのイメージ等々、様々に思い浮かべつつ旋律の断片を創り上げていくのが、最高のイメージトレーニングになるのです。
ですから皆さんも是非、作曲に挑戦して下さい!たとえ一曲完成できなくても、時折、作曲してみようと試みること自体が、最高の音楽的トレーニングとなります。是非、トライしてくださいね!
ジャズアドリブ、即興演奏の極意
そしてもう一曲ご紹介します。通常、バラードテンポでムーディーに演奏されることの多い名曲「You Don't Know What Love Is」を、ミディアムテンポでスウィンギーに解釈しました。
この演奏のアドリブでは、「極力、意味の無さそうな音を並べる」ことをテーマとしました。・・と言うと皆さんは「?」と思われるでしょうが、反対を考えてみると、その意義が理解しやすくなります。
例えばコード理論的に正しい音、フレーズ等「意味がある音」ばかり求めてアドリブすると、奏者は、演奏が進むにつれてアイデアが枯渇していき、徐々に窮屈な気分となります。そして、リスナーにとっては「ありきたり」な演奏に聞こえやすくなります。意外に良いことが無いのです。
とは言えども、皆さんが参考にする場合、「極力、意味の無さそうな音を並べる」と考えるだけでは、あまりにも漠然としていますよね。ですから「その瞬間、他の楽器の音に対しての意味は無くても、「自分の発した前の音と何らかのつながりを持つ音」を求めると良いと思います。
ジャズアドリブ、即興演奏の世界は大変に奥深いものです。そんなアドリブに取り組む際、何らかの参考にしていただければ幸いです。