この数年、3,4カ月に一度のペースで、「マナチカバンド」として、名古屋の老舗ジャズライブハウス、Jazz inn LOVELYに出演してきたのですが、次回(2019/2/19)からバンド名をManabu Musicと改めることとしました。私、鈴木学の目指す、ジャズサックス、フルートの音楽世界を表現するバンドとして、活動を続けていこうと考えています。
その場で造る音楽
実はちょうど昨日、このバンドメンバーで、ラブリーに出演してきたのですが、今回は試みに実質10分程度で作曲した、たいへんシンプルな楽曲を持ち込み演奏してみました。あまりに気合の入った楽曲ばかりを続けたら、お客様も聴くのに疲れてしまうだろうから、軽いノリの楽曲も取り入れてみようと考えての選曲でした。
実際、簡単なリハーサルの時間に初めての音出しをしたのですが、バンドで演奏したことで初めて、楽曲が具体的な音になります。そうなると旋律をどのように表現するか?イメージが湧いてきます。そして、本編のライブでお客様にお聞きいただく楽曲として、通して演奏することで即興演奏部分のアイデアがふくらみます。
即席で造った楽曲を持ち込むことで、あらためて楽器演奏がリアルタイムのものである事、つまり過去に創り上げた音楽を再現するのではなく、今その瞬間の演奏者の感覚に従って奏でていくものであることを再確認できました。
イメージを広げる練習
これは、ジャズアドリブ以外の音楽、楽譜、譜面に基づいた音楽の演奏でも共通だと思うのです。ジャズアドリブならば、演奏するフレージングそのものをその場の即興で演奏しますが、例え音符に書かれた旋律であっても、「活きた音楽」として演奏するためには、同様の演奏姿勢が必須でしょう。
ということは、楽曲を演奏する準備としての練習で必要なのは、毎回全く同じ音楽として再現できるようにする事ではなく、旋律、楽曲がどのような展開になっても対応できるようにしておくことです。その為に有効なのは、同じ楽曲をテンポを変えつつ繰り返し演奏したり(こんなテンポでの演奏は無理だろうというような、極端なテンポ設定をすると効果的です)、あえて初見に近いような演奏に不慣れな楽曲を練習する時間を作ったりすることです。
活き活きとしたステージを求めて!
例えば私のバンド、Manabu Musicの場合ならば、演奏する大半の楽曲が私の自作曲、オリジナル楽曲となります。とうことは、メンバーは初めて演奏する楽曲に取り組む機会が増えます。だから、バンドのメンバーに求めるのは、私が作曲して持ち込む、様々なスタイルの楽曲に対する対応力です。
まあ、すべてオリジナル曲のバンドは、極端な例ですが、例えスタンダード曲、カバー曲中心のステージであっても、事前の準備に従って、練習時の演奏の再現を目指して、本番ステージに臨んでしまうと、十中八九、不自然な硬い演奏になってしまいます。練習は練習、本番は本番として、ステージ上ではどんな音楽になるか分からない、という姿勢で本番に臨んだ方が、確実に良い演奏になります。
私自身、Manabu Musicとして、自作曲の演奏中心のスタイルに切り替えてから、確実に演奏が変化してきた手ごたえを感じています。「事前の準備どおりの演奏にこだわらず、演奏中の感覚に従った演奏、そして、それを実現するため普段から柔軟性を高めるための練習に取り組む」、皆さん是非、記憶しておいてくださいね。