現代音楽は進化している!

ピアノ

先日、ご縁をいただいて、クラシックピアノの先生のトークライブを観覧しました。クラシック音楽の歴史、地理的なお話、季節の話題と絡めた楽曲の紹介等、大変に楽しいライブでした。その中で、一人の我々とほぼ同時代の作曲家の作品が紹介されました。その楽曲は私、鈴木学にとってたいへん衝撃的なサウンドでした。大変に斬新かつポップだったのです!

斬新でありつつポップなサウンド

まずは現代音楽の作曲家の皆様に対して、自らの不明を詫びなければなりません。一応、知識として、現代の作曲界では無調音楽の混沌から脱却し、調性音楽に戻ってきたことは知っていました。しかしまさか、こんなにも美しい作品が生み出されていたとはつゆ知らず、その分野にはアンテナを向けていませんでした。一応専門的に音楽に携わる者として、恥ずかしいかぎりです。

その衝撃的なピアノ曲を作曲したのは、田中カレンさんという、現在ロサンゼルス在住の日本人とのこと、ライブ中にご紹介いただいた際、すぐにメモを取り、帰宅後さっそくリサーチしました。まずはYoutubeで検索してみたのですが、ライブで聞いたのは子供向けのピアノ曲でしたので、ヒットするのは子供の演奏ばかり・・、もちろんそれでも楽曲の美しさは伝わってくるのですが、正式な録音を探していたところ、こんな音源を見つけました。ホルンとピアノのための楽曲とのこと、早速聞いてみました。

まいりました。一言、「美しい」です。斬新な旋律、和音の響きが続く中、何とも言えないさわやかさ、ポップな感覚が快い・・。これまで、現代音楽以前のクラシックは、かなり積極的に聴いてきたのですが、まさかほぼ同時代を生きる作曲家がこんなにも美しい作品を生み出していたなんて、心から衝撃を受けました。

現代のジャズの進むべき道は?

振り返って、自分が主に取り組んでいる音楽ジャンル、ジャズはどうだろうと考えると、なんだか悲しい気持ちになりました。クラシックはとっくにアバンギャルド、前衛の嵐の中から、いくつかの選択肢を見出し、間もなく実りある成果を得ようとしているように思えます。しかしジャズ場合はどうだろう?フリージャズの混乱の後、何かコレという道筋を見つけ出したプレイヤーは存在するだろうか?

ホルン

残念ながら、その答えは否定的なものにならざるを得ません。本当の意味で、現代のサウンドと見なすことが可能な演奏スタイルを見つけ出した、ジャズプレイヤーはいまだ出現していないように思えます。進歩的な演奏をしている奏者でも、あくまで「過去の発展」もしくは「過去の否定」レベルだと思います。

本当の意味で、現代のジャズが音楽としての存在感を増すためには、現代にマッチした「現代のジャズスタイル」を見出すことが求められるように思います。残念ながら、デキシーランドジャズスウィングビバップモードフリージャズその先に続くスタイルはまだ出現していません。

過去のスタイルを発展させているジャズメンは存在します。しかし、そうして生み出された音楽は一般リスナーにとっては難解なものとなりがちです。一方、過去のスタイルを否定し、スウィングの伝統から離れた音楽をジャズと称している奏者も存在します。しかし、過去のジャズの中には、ジャズ独特の魅力があったはずです。それを活かしてこそ、現代のジャズだと思うのです。以前にも指摘しましたが、「ジャズとジャズ風音楽は異なる」のです。

私自身、現代クラシック音楽のムーブメントを大いに参考にするべきと、今回実感しました。クラシック音楽界では、今も素敵な作品が生み出されています。私もそんなジャズを生み出したいと、決意を新たにしました。精進します!