彼女のような、本当にすごい音楽を生み出すアーティスト(この言葉が似あっているミュージシャンはごくわずかだと思います)の価値が、もっと広く認められるべきですね。
超一流のシンガーであり、ピアニスト
タニアは、「ピアノの弾き語り」スタイルのミュージシャンです。ピアノを弾きながら歌います。まずピアニストとして、ブラジル音楽のスピード感を表現するのは超一流の腕前です。イントロのピアノ一発で、バンドをグルーブさせます。その上、ジャジーなテンションが効いたハーモニーも使いこなします。もちろんソロもバッチリです!
そしてもちろんボーカリストとしても超一流です。伸びやかでダイナミックな歌声、そして特にジャジーなスキャットは絶品です。コンテンポラリーなジャズで用いるようなテンションの効いたフレージングをサラッと、しかも迫力たっぷりに歌い上げます。そして、時にピアノとユニゾンで、ある時は口笛とピアノを組み合わせて・・、実に多彩な表現力を持っています。
こちらの演奏では、タニアの超絶グルーブの魅力が、存分に発揮されています。すさまじいスピード感です。しかも、このテンポの中で、ピアノのビートに微塵の揺らぎも感じさせません。すごいテクニックです。心より脱帽します。
ハイレベルな音楽性!
ピアノ、ボーカルが、それぞれ個別に評価してもハイレベルなのに、同時に表現される。その上作曲、編曲に関しても、とてつもなくハイセンスです。ブラジル音楽の伝統上にありながら、実に現代的かつ音楽的な楽曲、編曲を生み出しています。
どうも、その土台にあるのは、幼少期に受けたクラシック・ピアノ教育だったようです。実際、タニアのピアノを聞くと、静かでムーディーな楽曲では、実に繊細なタッチで優美なプレイを聞かせてくれます。当然作曲にもクラシックの影響もあるでしょう。加えてジャズピアニスト、チック・コリアからの影響もあったようですが、いずれも自己の音楽として完全に融合させています。本当にすごい人です!
こちらの映像では、タニアの繊細なピアノ、超絶スキャットの魅力が存分に味わえます。私はもうジャズを30年以上聴いていますが、その耳で聞いても、驚きの連続です。皆さん、もしもタニアを聞いたことが無ければ、是非聞いてください。ホントすさまじいですよ!